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奈良 自然信仰の原点にふれる旅
投稿日 2021年12月28日 15:25:23 (ブロガー)
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今回は日記のような感じの記事です。
先週、奈良県に行ってきました。知り合いがいたこともあり、いわゆる観光ルートではない旅をしました。改めて日本の自然の美しさを感じたり、古代から人々が大切にしていた風景にふれることができましたので、忘れないうちに。
奈良県に行って改めて歴史の長さに驚きました。私は東京出身で東京の都市史を学んでいました。東京の街の歴史は、せいぜい江戸時代以降なので400年から500年分です。ところが、奈良県は弥生時代、飛鳥時代、古墳時代、平安時代、、、とはるか昔からの歴史が街にのこっており、当時と同じであろう地形、当時から育てているだろう作物、太陽や四季によって変わっていく光景がそのまま残っていました。昔、中学校の古文や歴史で聞いた和歌の舞台がすぐそこに、そのままに残っているのです。
奈良最古の醤油蔵に宿泊
NIPPONIAマルト醤油に宿泊しました。奈良最古の醤油蔵で、2020年に宿泊施設としてオープン。建物は当時の醤油蔵をリノベーションしたものです。リノベーションは建設にかかるCO2も新築に比べて少なく、材料を再利用できるうえに歴史も継承できるので大好物です。
場所
マルト醤油は、奈良盆地の真ん中、田原本という町にあります。日本の主食のお米、稲作の発祥の地とのこと。田原本という地名からもわかりますね。古代の神話で稲を持った女神が天から降りてきて、ここから稲作が始まったという伝説が残っています。また、この女神の夫はお酒の神様。奈良盆地の東にある三輪山にある大神神社に祭られています。日本全国の酒蔵に新酒ができるとつるされる杉玉は、この大神神社から送られているそうです。伊勢から奈良に抜ける街道の交差点にマルト醤油はあります。

宿泊客ができる体験
宿泊するだけでなく、様々な体験ができます。醤油絞り体験と、朝のお参りに参加しました。醤油の蔵元ですが戦後に一度事業が途絶えてしまっていたところ、当時の蔵元の孫にあたる今の蔵元が、麹菌が建物にくっついて生きていることを発見し、醤油蔵を再生しました。建物の様々な部分が醤油づくりのための機能を残しており、その案内と、もろみを実際に絞る工程をやらせてくれました。しぼったお醤油は焼きもちにかけて食べることができます。醤油蔵だけあり、お醤油をフィーチャーしたばんごはんや、朝食もとてもおいしく、面白かったので別の機会にご紹介します。
山の辺(やまのべ)の道を散策
里山の原風景がここに
2日目は、柳本の駅から三輪山に向かって山の辺の道を散策しました。 山の辺の道 の道とは、三輪から奈良へ通じる古道です。途中には、一説に邪馬台国だといわれている纏向(まきむく)遺跡や、寺社などがあります。日本の里山の原風景ここにあり、という風情です。なだらかな山沿いに広葉樹が植わり、帯状に紅葉していてとても美しかったです。
道沿いでは柑橘類を育てていました。大和橘(やまとたちばな)という柑橘類だそうです。これは柑橘類の原種で現在では絶滅危惧種に指定されているようです。
他にも植物としては「美男かづら(さねかづら)」赤いつぶつぶの実がなる、つる状の植物を見つけました。食部の名前の由来は身から出る汁を整髪に使っていたため、美男カズラとなづけられたようです。万葉集にも三輪山とこのさねかずらがうたわれていますね。当時から同じ光景が広がっていたことに感激です。みもろの山(=三輪山)の山にさねかずらがある。さ寝ず(=寝ないこと)などあり得るだろうか。。という返歌だそうです。女と寝たいおとこの素敵な駄洒落なんですね。
玉櫛笥みもろの山のさな葛(かづら)さ寝ずは遂に有りかつましじ(万2-94)
http://www.asahi-net.or.jp/~sg2h-ymst/yamatouta/sennin/kamatari.html
道の途中にも万葉集の歌を掘った石がいくつかおいてありました。著名な文豪の直筆を彫り込んでいるプロジェクトのようで、文学ファンにはたまらないのかもしれません。
三輪山へ
山野辺の道の横の山は広葉樹ですが、三輪山は針葉樹でなだらかな柔らかい曲線の山です。周りの山と一線を画したたたずまいです。神が宿るとされています。日本一のパワースポットと呼ばれる大神(おおみわ)神社も訪れました。
三輪山にある桧原(ひばら)神社は、三輪山を祭っている神社です。伊勢神宮はかつてはこの場所にあったとされており、山がご神体なので本殿や拝殿がありません。とても神聖な雰囲気を感じました。
その後、1時間ほど歩き、大神神社へ。ここもパワースポットと呼ばれています。寺社の凛とした雰囲気は緊張感とリラックスを同時に感じさせます。
地球を大切にする理由を見つけたきがする
奈良県を訪れたのは中学3年生の修学旅行以来です。当時は大仏や唐招提寺、飛鳥に石舞台などを見学しましたが、今回は奈良のさらに深いところに触れることができました。奈良盆地には古代の自然信仰、仏教伝来、稲作など日本文化の根幹のものが発祥し、自然も当時趣のまま、古代の人が神秘的だと感じた三輪山が同じような佇まいで、現代に残っていることは奈良の人々が毎日歴史の上に生きているからだと感じました。
サステナビリティは地球のため、ビジネスを続けるためだと漠然と考えていましたが、改めて、人間が地球の自然の美しさや厳しさを称え、神を感じ、文化をつないできた何千年もの歴史の上に自分が生きていることを感じることができました。地球環境を論じると人間は悪者になりがちですが、共存する方法を自分の国の古代から学べることを実感しました。
Source: ななはちブログ
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